DVDにて鑑賞。
主演は『新世界』のファン・ジョンミン。監督は『公共の敵』シリーズ、『シルミド』の巨匠カン・ウソク。
トレイラー
<あらすじ>
学生時代の腕っぷしの強さでならした悪友たちが40代中盤に差し掛かり、素人に格闘技の試合をさせるテレビ番組「『伝説の拳』をきっかけに再会。拳を交えながら、日々の生活のなかで忘れかけていた大事なものを取り戻す。
ドッキュ(ファン・ジョンミン)は高校時代(パク・ジョンミン)ボクシングの国家代表の座を理不尽な判定で逃して以来ぱっとしない人生を送っている。経営する麺屋は閑古鳥が鳴き、妻は他界、高校生の娘(ジウ)は学校でいじめられ父親とろくに話しもしてくれない。ある日娘が同級生に怪我をさせ治療費を請求される。治療費のために以前から出場の依頼を受けていた『伝説の拳』へ出場することに。
ジェソク(ユン・ジェムン)は高校時代のある事件以来、チンピラとして暮らす。番組でドッキュに負けるがとくに勝負にこだわりがあるわけでもない。それには理由があるのだが・・・。ファイトスタイルは喧嘩。
高校時代のジェソクを演じるのはパク・ドゥシク、彼はドラマ『君の声が聞こえる』でもいい味を出していた。
サンフン(ユ・ジュンサン、高校時代はクウォン)は同じく高校時代からの友人である財閥家ジノ(チョン・ウンイン、高校時代はイ・ジョンヒョク)のもとでメディア担当部署の部長としてグレーゾーンに近いトラブル処理の仕事をしている。ファイトスタイルはテコンドー。
再開した彼ら3人は番組が進むにつれ、高校時代に不幸な別れで終わった友情とともにそれぞれの自尊心を取り戻す。
<おっさん向けの熱い良作>
X世代向けの映画の好調に乗ってつくられた映画だろう。内容にほとんど女性がからまず熱い男の映画に仕上がっている。(母性を排除しているあたり『リアル・スティール』とも似ている)
キャストはかなりのトレーニングを積んだらしく、撮影では怪我が耐えなかったそう。その甲斐があってか強い素人としてのリアリティは十分あり格闘技部分だけでもけっこう楽しめる。韓国最高のやられ役俳優ソ・ボムシクは安定のやられっぷり。
でも一番の見所は40代半ばのおじさんたちが奮起して自分のからをぶち破るところ。
話の本筋とはちょっとずれてるんだけど印象的なシーンがあった。
番組で勝ち進み人気者となったドッキュが高校の同窓会に初めて参加するシーンで最初は歓迎ムードだったのが次第に同窓生たちはドッキュを避難する空気に。ドッキュは国家代表に落選後自暴自棄になってそれまでの正義感を失った時期があったのだが自分ではそのことは忘れていた。私も経験があるが人は自分に都合の悪いことは結構すんなり忘れたりする。このシーンは当時の軍事政権の批判ともとれるね。
批判といえば劇中横暴な会長ジノがいる財閥名がCMグループ。この映画の配給はCJグループのCJエンターテイメント。製作現場への製作・配給会社の横槍もけっこうあるらしいけど、これがそのまま通るあたり韓国映画界は成熟しているなぁと感じる。まぁカン・ウソク監督だしね。
娘を持つ父親としてドッキュに感情移入できてラストシーンでは涙が出そうになった。ファン・ジョンミンは抑えた演技ができるいい俳優だね。
シャルウィーダンスが好きな男性なら楽しめるんじゃないかな。日本で公開されたら特に30~40代のおっさんにおすすめしたい映画。
★★★☆☆