トンネルを抜けると・・・列車の中は死体だらけだった。
われらがソン・ガンホ「助演」の『スノーピアサー』を新村MEGABOXで鑑賞。
映画館が鉄道新村駅ビルにあるんだけど建物自体が廃墟のようだった・・・
それはさておき雪国列車もといスノーピアサー・・・純粋に一つの映画としてみれば面白い。
ボン・ジュノ監督が今後もハリウッドで撮るのかどうかはわからないけど、ハリウッド1作目としては上出来じゃないかな。揺れる列車のセットをまるごと作ったとかでてたけどキャスティングにはそれほど金かかってないと思うし、採算ラインは十分超えるだろう。
話題作だけに感想の記事も多いだろうから、数点だけ・・・
<ストーリー>
温暖化対策の失敗により全世界が氷に包まれた近未来が舞台。
残された人類(&動植物?)は永久機関(エンジン)をもち世界をノンストップで走り続ける長大な列車の中で生き残っていた。列車最後尾車両では刑務所のように抑圧された生活を送る人々。食事は配給される茶色のゼリーのみ・・・。最後尾車両の若きリーダー(クリス・エバンス)らは抑圧に耐えかね蜂起し、エンジンのある列車の最前部車両を目指す。
話自体は予想通りの展開で新味はなくラストも想定内だけど、全世界が直面している格差の問題のいきつくところだと考えると暗い気持ちになる。
<キャスト>
ソン・ガンホは主演じゃなくて助演。そして劇中英語はしゃべらず翻訳機を通してコミュニケーションしている。原作ではどうか知らないけどちょっと残念。
役どころとしても荒っぽくてシャブ中ではあるがそれほど飛びぬけた個性をもつ人物ではない。狂気を秘めた感じの役柄だと(勝手に)思っていたので物足りなかった。
主演は『キャプテン・アメリカ』『アヴェンジャーズ』のクリス・エヴァンス。『ファンタスティック・フォー』のときに比べるとだいぶ渋くなった。
助演のエド・ハリス(『ザ・ロック』)、ジョン・ハート(サトラー議長!)、ティルダ・スウィントンらがいい演技をしている。とくにティルダ・スウィントンが反抗した男に罰を与えながら演説するシーンがいいね。『コンスタンティン』の天使ガブリエル役も印象的だったなぁ。
助演でもうひとり光ってたのは最後尾の長老のボディーガード的役割を演じたルーク・パスカリーノ。蜂起のシーンでのダッシュ&必殺の一撃シーンは要注目。終盤の切ない目つきもいい。
ソン・ガンホの娘役コ・アソンは及第点。英語は上手かったしチャンスをつかんで活躍できるといいね。
<ぜひ映画館で>
スチームパンク好きとしては列車内の描写だけでも満足。凍った外界の描写もきれい。列車のドアを開けるたびに様々な展開がまっているのはゲーム的でわくわくする。
スチームパンクだけでなく、監獄もの、脱走もの、復讐ものと大好きな要素が詰まっているので個人的には大満足。映画館の大画面で見るとスノーピアサーの乗客になったような気分になれて楽しいのでおすすめ。
『殺人の記憶』に思い入れのあるファンのなかにはがっかりしてる人もいるみたいだし、ボン・ジュノらしいかと聞かれれば正直よく分からない。が、この手の作品をもっと見たいかといえば・・・是非見たい!
あ、でも『ほえる犬は噛まない』みたいなのもたまに見せてほしい。
★★★☆☆
韓国での観客数は900万人に迫っているとのこと。日本公開は来年2月との報道あり。