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韓国映画『26年』感想

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韓国映画『26年』(2012/135分)
監督: チョ・グニョン
出演: チン・グ、ハン・ヘジン、イム・スロン

追記: 当初チョン・ドゥファンと書いた部分は正式には「あの人」とクレジットされていたため修正しました。


<あらすじ>
1980年5月、全羅南道光州で起こった民主運動は軍による市民の虐殺という最悪の結末を迎える(光州事件)。当時軍を掌握していたチョン・ドゥファンはこれを機に大統領となる。

(映画はこの事実を背景にしたフィクション)

26年後、軍事独裁から民主政権へと移るなか、「あの人」は遺族への謝罪も無いまま、厚い警備の中、豪邸で暮らしている。

ある人物によって集められた事件の遺族3人。

軍によって父親を殺されたジンベ(チン・グ)・・・光州の暴力団員
母親を殺され父親も焼身自殺で失ったミジン(ハン・ヘジン)・・・国家代表射撃選手
姉を目の前で殺されたジョンヒョク(イム・スロン)・・・警察官

その目的は「あの人」への復讐だった。



<感想>
ガツンときた。

本作の原作は人気漫画家カン・プルの同名の漫画。
冒頭の虐殺シーンは原作のタッチのアニメーションでけっこうグロいシーンが多いので苦手な人は注意が必要。手描きにCGの効果を加えてなかなかの迫力。
同じ人物がその後の実写で出てくるので少し違和感を感じた。残虐さを強調するためなのか、原作ファンに配慮したのか分からないけど、最初から実写でやってもよかったんじゃないかな。

それはさておき・・・

現実に生きている人物、それも元大統領への復讐劇という非常にセンシティブなテーマを扱っている部分。
チョン・ドゥファンや光州事件への評価はここでは述べないけど、事件の最重要人物が創作物の中で喋り、行動し、劇中の人物と直接接する。
本人が言ったこと以上のことは言わないよう配慮はされてるとは思うけど、この部分が終止気になったのは事実で、結果的に終盤のカタルシスがそがれたのは否めない。

でも!

それでも公開にこぎつける韓国映画界がもつ熱量に驚くと同時に、萎縮せずにそれを復讐劇として十分楽しめるものに仕上げたチョ監督は見事だと感じた。



!!!注意 これ以降ネタバレ含む!!!



言いたいことが多すぎてまとまらないのでorz 役者ごとの感想を・・・


ハン・ヘジン
正直見る前はここまで深刻な映画だとは思っていなかったので、彼女見たさに見たんだけど、演技はまあ普通だった。それにしても彼女の顔って絶妙なバランスで整ってるよね。
劇中一回だけ笑うシーンと、遺族の遺影の前で全羅道なまりになるシーンはよかったし、男くさい劇中の清涼剤となっているのは間違いない。


イム・スロン
2AMのメンバー。ドラマ『天命』にも出てた。
優柔不断な役、悪くない。彼はいい顔してるね。


チン・グ
『マザー』の演技も印象的だった彼。本作ですっかりファンになった。
光州の暴力団のナンバー2的な役割なんだけど、凶暴性と優しさが混ざる目つき、鍛えられた肉体でハマリ役。

チン・グのぐっと来たシーン
・夫の死によって精神に異常をきたしている母から顔を傷つけられ血を流しながら「かあちゃんは変わんねえなぁ」と抱きしめるシーン
・理由を言わずに組をやめるというジンベに対して組長が「この世界じゃやめるには理由が要るんだぞ」というと、「ソウルにちょっとタバコ買いに行ってきます」
・終盤、作戦に向かうバスの中で子分たちに「お前ら獲物は捨てろ。俺たち今日ばっかりはチンピラじゃねえぞ。光州の息子たちだ!」
・ラストの目を瞑るシーン

私がいい映画の指標にしている「走るシーン」。ジンベがチョン・ドゥファン自宅の警備の前を挑発するように走るシーンもとてもよかった。
政治的な部分は抜きにして彼の映画としてみても十分楽しめる。


チャン・グァン
「あの人」役。
『トガニ』のショッキングなまでに非道な校長(&理事長だっけ?)役から、話題作に立て続けに出演している彼。もともと声優だったんだね。
本作も、彼にしか出来なかったんじゃないかと思わせる演技。


その他の助演陣もみないい演技をしていた。

最後にこの映画、クラウド・ファンディング「制作ドゥレ」により、15,000人、7億ウォン余りの一般からの投資を得て制作された韓国初の映画だそう。エンドロールに膨大なクレジットが・・・。こんな作品だったら投資する価値があるね。


★★★★☆


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