韓国映画『新しき世界』(原題:『新世界』、2013年、134分)
監督:パク・フンジョン
出演:イ・ジョンジェ、チェ・ミンシク、ファン・ジョンミン
見たかった試写会にいけずに結局今まで見ていなかった。
ファン・ジョンミンが本作で青龍映画祭で主演男優賞を受賞したので、こりゃいかんと鑑賞。今回のレビューはネタばれなしで・・・
<あらすじ>
上官であるカン課長(チェ・ミンシク)の命を受け韓国最大の暴力団のフロント企業に潜入して8年になる中国系韓国人の警察官ジャソン(イ・ジョンジェ)。
組のナンバー3で組内の中国系勢力を統べるジョンチョン(ファン・ジョンミン)。
ジャソンはジョンチョンの右腕として信頼を得ているが、潜入捜査からくる強いストレスに耐えられず警官復帰を望んでいる。
暴力団のトップである会長が事故死をとげ、ジョンチョンの勢力と次期会長の座を狙うナンバー2が率いる別の勢力との対立が表面化する。組内の勢力争いを利用し組自体を懐柔しようとするカン課長の計画によりジャソンは戻ることのできない立場に追い込まれる。
<感想>
コリアン・ノワール史に残るマフィア映画と言っていいんじゃないかな。
警察官がマフィアへの潜入捜査といえば名作『インファナル・アフェア』のトニー・レオン、そのハリウッドリメイク『ディパーテッド』のマット・デイモンが思いつくけど、その後にイ・ジョンジェがくわわることになるとはね。
『ディパーテッド』ではアイリッシュ系が取り上げられてたけど、本作では中国系。『哀しき獣』でもそうだったけど、韓国人がもっているのかもしれない、朝鮮族(韓国・朝鮮系中国人)を含む中国人に対する深いところからの怖れみたいなものが本作からも感じられる。本作でも刃物でざっくざく。
チェ・ミンシクはそこまでするかというほどの冷徹な上官役を好演。もうさすがとしか言いようがない。
イ・ジョンジェは、『泥棒たち』と本作という作品に恵まれたことによってトップ俳優の仲間入りをしたといえるんじゃないかな。昔からのファンとしてはうれしい限り。潜入捜査官としての苦悩の表現はちょっと物足りないけど、最後の回想シーンのさわやかな笑顔、これにやられちゃうんだよね。
キャスティングから関わったチェ・ミンシクから直接電話で出演オファーを受けたという彼。そりゃ断れないでしょ。
そしてやっぱりこの映画の成功は彼のおかげ・・・ファン・ジョンミン。
中国語もまあまあ頑張ってたし、表面的には軽くて義理堅い中国系韓国人マフィアを演じきった。これはぜひ実際に映画を見て確認してほしい。(暴力シーンは直接的な人体の損傷は見せないのでそれほどきつくはない・・・はず、刃物はざっくざくだけどね)
ジョンチョンが買ってくるブランドのばったもんをそういう使い方するとは・・・パク・フンジョン監督なかなかやるな!
あと音楽もすごく印象に残るというわけでないけど雰囲気にあっててなかなか良かった。
★★★★☆
追記:
邦題『新しき世界』とのことで一部修正・追記。
日本公開は2014年2月1日全国ロードショー
公式サイト
http://www.atarashikisekai.ayapro.ne.jp/
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韓国映画『新しき世界(原題:新世界)』感想
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