2015年のとある日、ビルのトイレの個室のドアに張り紙が貼られる。
「使用したトイレットペーパーは必ず便器に流してください」
それまで個室内にあるゴミ箱に捨てられるトイレットペーパーをみて不衛生だと苦々しく思っていた利用者は「やっと当たり前のことが当たり前になった」と喜んだ。
だが、個室内のゴミ箱はなくならず、そこに捨てられるトイレットペーパーも量は減ってもなくなりはしなかった。
それまでそれこそが真実と思い続けた人たちにとって、習慣化した思考はなかなか変えることが難しいようだ。
そして最初の張り紙が貼られてから2年たったある日、その張り紙に重ねて新しい張り紙が貼られる。
「使用したトイレットペーパーは必ずゴミ箱に捨ててください。」