韓国映画『ザ プラン(The Plan)』(102分、2017)
監督:チェ・ジンソン
出演:キム・オジュン他
<あらすじ>
パク・クネがムン・ジェインを僅差で破り当選した2012年の第18代大統領選挙。
実際の開票所の記録にある時間と選挙管理委員会の投票結果発表時間の矛盾から疑問を持ったジャーナリストが、大学教授やハッカーらの協力の下で検証を進めた結果、大きな不正の可能性にたどり着く。
<感想>
ジャーナリスト、キム・オジュンが韓国大統領選挙の開票システムに警鐘を鳴らすドキュメンタリー。
本来今年の秋公開予定だったものを、チェ・スンシルゲートからパク・クネ弾劾により来週9日に第19代選挙が行われるということで急遽公開。
また、同時にYoutubeにて無料で公開されている。
(この後ネタバレを含みますが、映画の性質上、お読みいただいて問題ないと思います。)
パク・クネの当選を決める開票の過程に、通常では説明が出来ない不審な点があることを分かりやすく説明してくれる。
統計学の教授やハッカーらによる検証の結果、可能性を疑われる不正の内容を簡単に説明してみよう。実際、かなりシンプルな内容。
まず通常のプロセスから
全国13,500箇所の投票所から、251箇所の開票所に印刷された候補者の横に投票の印が押された投票用紙が移動する。
↓
光学式読み取り分類機によって、各候補者別に正常分類された表と、分類不可とに分けられる。
↓
正常分類された表は、人による目視のチェックのあと集計される。
分類不可の表は、人による目視によって、正常な表(機械が正しく分類できなかった)だと判断されれば候補者の票にプラスされる。
↓
選挙管理委員会に結果が報告され発表される。
そして、これにどのように不正された可能性(赤字の部分)があるかというと・・・・
全国13,500箇所の投票所から、251箇所の開票所に印刷された候補者の横に投票の印が押された投票用紙が移動する。
↓
光学式読み取り分類機によって、各候補者別に正常分類された表と、分類不可とに分けられる。
分類機のプログラムが書き換えられパク・クネの表にムン・ジェインの表が一定数紛れ込まされ、また分類不可の表の中にはパク・クネの表と正しく判断できる表が多く送り込まれる。
↓
正常分類された表は、人による目視のチェックのあと集計される。
分類不可の表は、人による目視によって、正常な表(機械が正しく分類できなかった)だと判断されれば候補者の票にプラスされる。
正常分類された表の人によるダブルチェックは限界があるため間違って分類された他の候補者の表ははじかれきれず一定数パク・クネ表として残る。また分類不可から人によるチェックは比較的しっかりとチェックされるためパク・クネに表が多く加算される。
↓
選挙管理委員会に結果が報告され発表される。
ポイントは、誤分類や分類不可の表に候補者の偏りがあるのはだれが考えても不自然なのだが、開票結果を見ると、全国的に同じ割合でパク・クネに多く偏っているということが、反論の余地の無い明確なデータとして示されるのだ。
また実際にプログラムの書き換えと上記の不正が可能なことが実証実験で明らかに。
映画は韓国の軍事政権の不正選挙の時代から民主化を経て、前回の選挙でまた不正が復活した可能性があることに警鐘を鳴らし終わる。
「誰がこの不正を『プラン』し、実行したか」への言及が一切無いのは公開を早めたせいなのか、そこまで踏み込めなかったのかは分からない。(選挙管理委員会は数度のインタビューの申請を断り続けているそう)
今、韓国は内政・外交・経済全ての面で混乱もしくは混乱の一歩手前の状況にあると思うんだけど、次の大統領が少なくとも民主的な方法で選出されて子供たちが安心して暮らせる社会にしてほしいと願わずにはいられない。
★★★★☆